105214 ランダム
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・・・牢までの道のり



自分の暴虐性を知った私は、深い反省を覚えたにも関わらず

向かい合いに立つ犯人と、未だ格闘を繰り広げていた・・・



護送車がやっと到着し(事の経過から約1時間後)金太郎
が車へ乗り込む。

これで中央警察所へ行き、事故報告書を作成したら

犯人は牢へ葬られ、私達は帰宅出来ると思うと、ホッ!とする反面

フランス警察官の対応の悪さに無性に腹が立っていた。


何故?

被害者と加害者が同じ護送車に乗らなければならないのだろう?

いくら犯罪の多発により護送車の数が回っていないとしても・・・


体が2倍もある

犯人達と向き合わせで座らせるなんてあんまりな話だ。


しかも、金太郎
は英語が全く話せない・・・

警察官の話によれば、この護送車は20m先にある次の犯人らも


連行しなければならない為、


ここにいる全員を乗せてしまうと、定員オーバーとなる。

従って、被害者の代表一人しか乗せる事が出来ないという事だ。

その話は本当か?

正直疑いたくなる程、警察官の対応は緩やかで限りなくスローであった。



護送車は日本と同じバス型のもので、

スモークガラスの窓には、網がびっちり張られている。

強化ガラスと鉄鋼でガードされた運転席の後ろからは、

バスの最後席まで対面で座れるよう長~い長イスが設置されている。

ちらっと覗いただけで明からに分かる、被害者組と加害者組の向かい合い席。

人相も強烈にパンチが効いている・・・

こんな経験せずとも、十分楽しく生きてこれたのに、と思うが

全ては自分の選んでしまった行為から始まるものである。

受け止める他ないのだ。

手錠を着けた犯人の前で、防護棒を握りしめ、聳え立つ警官の顔は険しく

一睨みされただけで恥ずかしながら漏らしてしまいそうである。



男気溢れる金太郎


小判ザメと私?と仕事をしたが為に起こった不運な年始。

しかもまだ、年明けから2時間も経ってないぞ。


護送車へ乗り込もうとしている金太郎
をよそに

コバンザメ様は横で

「ねぇ、護送車も来たし、明日も早いからホテルに帰っててもい~い?
何かあったらホテルに電話してくれればいいから。
ここは寒くて耐え切れないし、警察所なんか行っても私分からないし。
っていうか、タクシーで帰りたいんだけど?
いいよね?」

・・・・・・。


彼女は人として生きていくのに限界がないだろうか?

どうやら、彼女は事の発端がまるで理解出来ていないらしい。

元々の原因は彼女の行動にあると思うのだが

どうなんだろうか?

彼女の発言は、まるで私達(私と金太郎)に振り回されて困っちゃうのよね~

という風にしか聞こえない。



何故?私はこの娘と仲良しなのか??

自分の懐の広さに浸ると同時に、同行の金太郎とHにただただ申し訳なかった。


護送車が金太郎
を乗せ出発したのを確認した私は

コバンザメとHをタクシーに乗せ

被害者のカナダ人・ドイツ人らと一緒に警察所へ向かう事とした。

コンコルド広場から、その警察所までは割と近く、歩いて10程度であったと

思うが、頬を刺す冷たい空気とあまりの緊張感からか

警察所までの道のりは何十キロもあるかのように感じた。


警察所は3階立てになっており

向かって正面から左手が事務所・右手が町交番のようなデスク室と

なっていた。

壁で上手く仕切られてはいたが、扉窓が大きいので中の様子がはっきり見える。


事務所には、私達が到着する前に連行された犯罪者らしき者達が

一列に立たされ、耳元で罵倒されている様子が伺える。


嫌なものを見てしまった・・・


警察所の右手にある町交番室?へ案内された私達は、


間もなく到着するであろうお互いの同士を待つことにする。


私は年が明けたばかりの「Happy NEW YEAR」そうそう運が悪い事に、


例のカナダ人に捕まった。

金太郎がこの警察所へ帰ってくるのをドキドキ緊張しながら待っているというのに

寒い冗談でニコニコ話しかけてきては身の上話まで長々と付きあわされ

はっきり言って散々であった。


このカナダ人はロバートと言うかなりトボけた青年である。

いや、単なるだと思う。

彼曰く

私と金太郎のアクロバットな戦いを野次馬していた為、カメラを盗まれたとの事。


挙句、取り返そうと犯人に飛びつき・殴りかかったところを警察官に暴行現場

として取り押さえられ逮捕。もちろん事情を説明し、事を得た為、被害者とし


て私と一緒にこの待合室にいるのだが、


護送車に乗っているのは彼女の方だとか。

おいおい、ロバートよ。

ここは通常、殿方が男気を見せるところなのでは?

なんとも、嘆かわしい話である。



午前3時過ぎぐらいだっただろうか?

警察所へ到着してから約45分後、外がようやく賑やかになり護送車が見える。


金太郎が帰ってきたに違いない!

窓から様子を伺うが彼の姿は疎か、手錠を着けた犯人が23人程ぞろぞろ

降りてくる。

無論、我犯人もここにはおらず・・・金太郎の姿も見えない。



護送車が出発したその地点から、この警察所までは徒歩10分の距離である。


その20m先の犯人らを乗せたとしても、正味30分もかからんであろう事が、


何故こんなに時間を食うのか?


あまりのスローでのんびりした対応に苛立だった私は

警察官へ詰め寄り、まだか?まだか?と聞いても

「僕は管轄外なので分からないんだよ。」だとか

「護送車と無線が通じなくて僕らも困ってるんだよ」等のつまらぬ言い訳の上、


ナンパまでしてくる始末。

なめてんじゃねぇぞぉ!とあまりのイライラに血管が切れそうになる私。

フランス警官は仕事に慣れとらんあまりか

ロマンスに夢中になりすぎる。


側でこの様子を見ていた

アメリカ人女性は恋人の身を案じてか、一人ぶつくさ神に祈りを捧げ

警官に猛攻撃であーじゃい、こーじゃいまくしたてているが撃沈。

ミセス・・しょうがないのだ、この人達は仕事が分かっとらんのだ。


大体、こやつらはさっきから鼻はホジホジ、耳はポリポリ。

毛づくろいばかっりしとる。
 

毛づくろいは家でしてこい!!とアメリカ人男性も怒る!怒る!

小さな待合室は怒りの池となり、被害者の文句が反響しあっていた。



怒りで待ちあい室が満ち溢れていたところ、


あのロバート氏が、

今頃!携帯を持っていた事に気がつき、彼女へ電話を入れる。


ロバートよ。早く気付いて欲しかった))



護送車に乗っている彼ら曰く、

車内はぎゅうぎゅうで、外の景色が見えない他

犯罪者だけがどんどん乗車してくるが、自分達がどこにいるのか分からない。

クルクルとシャンゼリゼ近辺を、回っているのは確かみたいだが

警官に聞いても、間もなく到着だ!の返事しかもらえず、

この先どのくらいかかるのかも分からないとの事。

そして、びっくりする事に護送車の無線は壊れているんだよ!と

こちらでも同じ事をいっていた。

日本じゃ考えられんぞ、フランスよ。



この後も、フランス警官は

鼻をホジホジ・耳はポリポリ掻きながらのんびり犯人を拘束中。

この国は何かがおかしいぞ・・・



事実、金太郎がこの警察所へ戻ってきた時刻は3:30・・・

一体、なんでそこまで時間がかかったのか?今でも不明だ。


まぁ、それはいいさ。


しかし、いざ報告書を作ろうとすると

事務所から出てきた警官が

「いやぁ、お待たせ。

さて、話はさっき聞いたよ。

えーと、君達はデジカメも手元に戻って来ているし、盗まれたものは何もないだろ?

今日は見ての通り、犯罪数が多すぎてレポートを上げるのに苦労しているんだ

よ。このまま行くと、君らの書類を作るのは明日になっちゃうけど

それでもいいかな?

あっつ!もちろん、犯人の犯罪暦はこちらで報告としてあげるし

牢に入れるから心配ないし、問題ないよ。

君達はいつまで、パリへいるの?

ん?4日までだね?それだったら、4日までは彼を牢へ入れておくから

君達がパリ滞在の間は心配なく滞在が出来る事になる。

それでいいかな?」

・・・。

ぱくぱく。←怒りで開いた口が塞がらない私とT。

え?何を今更?

最初からそう希望していたんですけど?

一体何の為に、私は何時間もここへいたのですか?

何故?金太郎は護送車へ何時間も乗らなければならなかったのですか?

何故私は警官が犯人を殴りつけ血しぶきが飛び散るのを

目撃せねばならなかったのでしょうか??

この問いに答えられる警官はいなかった・・・



パリの年末。

それは恐ろしか思い出・そしてあまりにも虚しくあっけない結末であった。

博多っ子は大人しく博多で年ば明けんしゃい・・という事でしょうか?

どなたか教えてくださらんか?・・・・・



ちなみに、部屋へ帰ると小判サメ様は高らかなイビキでもって私を迎え入れてくれたのでした・・・。

はて?なんで私は、この娘と仲が良いんだろうか?

スタッフHは心配して、ホテルのロビーで私達の帰りを待っていたというのに。


*金太郎氏のサイトに護送車の中での話しが詳しく書かれてます。
 宜しければ・・ご覧下さいませませ。
金太郎氏




追伸:
おまけですが、私のお世話になった警察所では
掲示板に、唯一!日本語で案内が出されており
それには

「どろぼうに気をを付けろ!」

と大きく書かれてあり、万が一被害にあったさいの緊急連絡先や
緊急対応先の電話番号等が記載されてありました。

また詳しく読むと
犯罪にあった際には、犯人を刺激しないこと。
滞在中に危険を及ぼす可能性があります。
と書かれてあった・・・
ガーン!!!!!
時既に遅し・・・。

そして、警官に君のキックは見事だったよ♪
日本はカンフーが流行ってるからなんだね♪と言われ
ひったくりによる日本人の被害者は多いからね、
もし良かったら、
「強くなろう!日本人!」というキャッチフレーズのポスターを君の顔写真入りで作ろうと思っているんだけど?
どうかな?提案された私。
もちろん!
断固として拒否して帰国しましたよ。
だってお嫁にいけなくなるもんね・・・

警官によると、日本人観光客を狙った被害が一番多いとの事です。
皆さん気をつけましょう。

私が言うな!ってね。スイマセン・・・



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